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― 宮藤家 朝 ―

b23889_icon_1.jpg愛華
「おはよー!」


b23881_icon_1.jpg恋華
「おう、おはよう姉貴」


b23889_icon_1.jpg愛華
「あー、今日は放課後どうしよっかな?」


b23881_icon_1.jpg恋華
「ああ、ルルんトコは今日開けないって昨日メルが言ってたな。仕事だっ
て言ってたが……」

b23889_icon_1.jpg愛華
「大口が入ったってルルティアが大喜びしてたわね。ルルティアが仕事熱
心な所なんて始めて見たわ」

b23881_icon_1.jpg恋華
「……そうでもないと思うぜ。後で私達も出番があるから用意しておいて
くれって言ってたが」

b23889_icon_1.jpg愛華
「ルルが? なんで探偵業にあたし達が付き合うわけ?」


b23881_icon_1.jpg恋華
「おいおい姉貴。探偵業ならルルが喜ぶ訳ないだろ。今回の仕事は”本業”
絡みらしいぜ」

b23889_icon_1.jpg愛華
「”本業”絡み……?」


b23881_icon_1.jpg恋華
「つまり、出るってコトだ。」


b23889_icon_1.jpg愛華
「何が?」


b23881_icon_1.jpg恋華
「……姉貴に行間を読ませようとした私がバカだったぜ。だから、出るん
だよ。」
 

……”奴等”がな。


― 某県某所 貸しビル5F 昼 ―

2d869655.jpgルルティア
「メル、確認は取れたか?」


c0777993.jpgメルティア
「はい、師匠。ここに間違いないです」


2d869655.jpgルルティア
「よし、踏み込むぞ。仕込みは任せる」


c0777993.jpgメルティア
「了解」


貸しビルのガラス扉に手をかけてルルティアが押し入る。扉の正面には
つい立があり、ここからでは奥の様子はうかがえない。来訪者に反応し
てか、若い男が歩み寄ってきた。

若い男
「いらっしゃいませ。当社に何か御用ですか?」

丁寧な言葉で取り繕っているがルルティアを見下し、威圧的に追い払お
うとしている事がルルティアには一目で分かる。

2d869655.jpgルルティア
「私はこういう者だ」


ルルティアは懐から一枚の名詞を取り出し、男に突きつけた。

若い男
「私設弁護士 佐川縷々? 当社に何か御用でしょうか?」

弁護士、という肩書きに懐疑的ながらも僅かに反応を見せた男。しかし
それを見ても男は威圧的な態度を崩さず同じ言葉を繰り返す。

2d869655.jpgルルティア
「御社の業務は貸し金融で間違いありませんね?」


若い男
「確かに金融も取り扱っております」

2d869655.jpgルルティア
「瀬名康彦様の件で伺いました。御社は法的に不正な金利で法外な金額
を巻き上げていると瀬名様からの相談を受けまして」

若い男は露骨に威圧を始めた。どうやらこの手の事には慣れているよう
だ。

一方のこちらには法的な知識など欠片も無い。出した名前こそ本物の依
頼者の名前だったがそもそもルルティアは弁護士でも探偵でもない。

だが、時間稼ぎのハッタリは寧ろ得意分野と言える。ルルティアは次か
ら次へとそれっぽい単語を適当につなぎ合わせ獲物が掛かるのを待った。

コン、と軽く壁を叩く音。それはメルティアの仕込が終わった合図。そ
れを聞いたルルティアはハッタリを挑発へと切り替える。

b06033_icon_5.jpgルルティア
「とにかく、御社が不正な金利で越後屋がうはうはなのは桜吹雪が黙っ
ていないという訳である」

若い男
「……訳の判らない事をごちゃごちゃ言ってるんじゃねぇ! こっちは
ガキの遊びに付き合うほど暇じゃねぇんだよ! ぶっ殺すぞ!」

おお掛かった掛かった。単純単純……ルルティアは心の中で呟く。

b06033_icon_2.jpgルルティア
「その言葉、宣戦布告と受け取った。当方に迎撃の用意アリ」


ルルティアが、ニヤリと嗤った。次の瞬間、重い踏み込みと共に拳を若
い男の胸に叩き込む!

若い男
「なっ!?」

若い男は、自分が確かに宙を飛んでいる事さえ理解できずにブラックア
ウトした。

ルルティアの拳は、成人男性一人をボールのように弾き飛ばし、ついた
てを薙ぎ倒してさらに数個の机と椅子を巻き込んだ。

突然の出来事に無数の電話機が並ぶオフィスが騒然とする前に、仕掛け
が発動した。

ぱん、と軽い音がした。それも立て続けに何回も。だがこの音はある特
定の音を聞いたことがある者にはある物を連想させる音だった。

特定の物とは勿論、拳銃の発砲音である。

b06033_icon_2.jpgルルティア
「Shall We Dance?」


ルルティアは騒然とするオフィスに飛び込み、手近に居た男の腕を掴ん
で振り回した。

踊る、と言うよりはまるで武器のように。

b06033_icon_2.jpgルルティア
「アハハハハハ! もう終わりとはつれない奴だ!」


男の関節が外れた事を腕越しに確認すると掴んだ腕をあっさりと放し、
別の倒れている男の片足を掴んだ。

b06033_icon_2.jpgルルティア
「さあ、お前は何秒踊れるかな!?」


b15443_icon_3.jpgメルティア
「師匠、終わってます」


2d869655.jpgルルティア
「なんだ、つまらん」


掴んだ片足を振り回しかけて、離した。男は顔面で床を雑巾掛けする事
になったがルルティアには関係ない。

b06033_icon_7.jpgルルティア
「やれやれ、ここからは面倒な作業か」


c0777993.jpgメルティア
「迅速に行きましょう。駆けつけてこられてはさらに面倒です」


2d869655.jpgルルティア
「判っておるわい。妾が書類を捜すから分別宜しく」


c0777993.jpgメルティア
「了解」


ルルティアは種類の入っていそうな所をこじ開けて、中の書類をメル
ティアに渡す。メルティアは座ってそれを仕分けする。

まるで洗濯物を取り込む夫と畳む妻のような構図になっているのだが取
り込んでいるのは所謂ヤミ金業者の得物リストなどで、畳んでいるのは
その中から元締めを割り出せそうな書類である。

2d869655.jpgルルティア
「ここはこの程度じゃな。そっちの首尾は?」


c0777993.jpgメルティア
「後、二件程梯子すれば正確な情報が得られるかと」


b06033_icon_7.jpgルルティア
「やれやれ、現代社会とは角も面倒な物よのう……」

 

……後半へ続く
 

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